先日の記事で天皇陛下や皇太子様が、退位や即位の礼の儀式の際に着られていた黄櫨染御袍や黄丹袍がとても厳格に守れれて来た大切な色であり絶対禁色だと紹介しました。
その後、何故黄櫨染や黄丹の色が作られ大切にされてきたのか、その各色に込められた意味などについても気になったのでまとめて見ました!
黄櫨染御袍と黄丹袍
それぞれの概要
黄櫨染御袍
黄櫨染御袍は、平安時代以後の天皇が重要な儀式の際に着用する束帯装束で、黄櫨染は色を表しその色の袍のことだそうです。
黄櫨染とは、櫨(はぜ)の樹皮と蘇芳(すおう)から染められた色で「黄色がかった茶色」や「赤みがかった黄色」と言われ黄色と茶色の中間の色に思えます。
黄丹袍
黄丹は皇太子のみが身につける事を許された色です。
婚礼の儀や立太子の礼の際に着用され、昇る朝日の鮮やかな色と言われその色はベニバナとクチナシを重ね染めた「赤みの強い黄色」です。
どちらの色も今の技術を使えば、コンピューターで作ることは簡単ですがその作り方や意味に重要さがあり、それぞれ1人しか身につけられないことから大切に受け継がれてきたことが分かります。
黄櫨染と黄丹の誕生秘話
黄櫨染や黄丹はどの様にして誕生したのでしょうか、またこの色を選んだ意味とは…….
初めは紫色だった?古代ローマでも使われていた?
聖徳太子が「冠位十二階の制」を作った際、最高位の色は濃い紫色でした。
この紫色が最上位の者がつけることとなった歴史は古代ローマまで遡ります。
古代ローマ帝国の言葉に赤紫を意味するPrphyrogenitus、そして出生を意味するGenitiusという言葉が合わさり誕生した、Porphyrogenitusという言葉があります。
これは、皇帝や王家の子の誕生を意味する言葉でとして使われていました。
また、現代でも英語で「Born in the purple」という慣用句もあり、王家などの出生を意味し、このことから、古代ローマなどでは紫色が王や皇帝を意味した特別な色だと考えることができます。
なぜ紫なのか?
古代ローマなどで、王や皇帝が身につけていた紫は『貝紫色』と呼ばれる巻貝の分泌液から抽出される赤みがっかた紫でした。
この、貝紫の原料となる巻貝はローマ帝国の誕生した頃(1世紀頃)には乱獲によって数が少なく希少価値が高くなりそこから作られる貝紫色もとても高価な珍しい物となっていきます。
そして、そんな高価で珍しいものを小さい頃すなわち出生から身につける事のできる人物は、上級階級であり高貴な血を受け継ぐ者『皇帝』『王族』の一族でした。
そのことから、貝紫色は古代ローマや西洋において王や皇帝を象徴する色として認識されたのです。
この紫を特権階級の象徴として使う文化はその後、中国そして日本に伝わり、聖徳太子の定めた『冠位十二階の制』で取り入れられたとも言われています。
またその時代、冠位十二階では同じ色でも濃い方が薄い者より位が高いとされる事から衣服を紫色に染めるための染料を抽出する紫草の根は貴重だったことも原因と考えられます。
いつ紫から黄櫨染や黄丹となったのか
古代ローマと同様に日本でも最上位の象徴となっていた紫色それがいつ、どうして黄櫨染や黄丹のような、黄色やオレンジ系統の色に変わったのでしょうか?
ルーツは中国、陰陽五行説と関係?
中国には、3世紀頃から唱えられてきた『陰陽五行思想』というものがあります。
五行は四季の変化を観察し抽出化した様々な事柄を説明する概念です。
- 木・春の象徴 東 青
- 火・夏の象徴 南 赤
- 土・季節の変わり目の象徴 中央 黄
- 金・秋の象徴 西 白
- 水・冬の象徴 北 黒
季節の変化は五行の推移によって起こると考えられ、それぞれに方角・色などあらゆるものに五行が割り当てられている。
その中でも、土は中央を意味し万物の中心にあり最もくらいが高いと考えられ最も高い序列に位置し同様に黄色も1番に位置しています。
この、陰陽五行思想は中国において受け継がれ6世紀の隋や7世紀〜9世紀の唐の時代には黄色に染められた『黄袍』が皇帝専用の服となり、黄色が皇帝専用の色となりました。
日本に伝わり、黄丹袍や黄櫨染御袍が誕生
日本はこの時代に遣隋使や遣唐使によって中国の文化を学び取り入れていく中で、陰陽五行思想も同様に運ばれ、五行の色彩の位置付けも取り入られました。
820年に嵯峨天皇は、黄色が尊いという文化を取り入れ天皇の儀式の際の束帯装束に、茶色がかった黄色の『黄櫨染御袍』を定めました。
黄櫨染には、真昼の太陽の色を表す意味もあります。
皇太子が赤みのある黄色の『黄丹袍』を用いるようになったのも同時期で、黄丹の色には昇る朝日の意味があり、やがて天皇となり皆を照らす存在になるようにと意味が込められているのかもしれません。
こうして皇族を象徴する色は黄色を基調とする色となりました。
今は技術の発達により色など簡単に作り出せてしまうしかし、その色の背景や歴史意味などがあるからこそ特別なものとして扱われていてその文化が受け継がれているのは素晴らしいことだと思います。
最後にまとめ
今日は、天皇陛下や皇太子様しか身につけることにのできない、『黄櫨染』『黄丹』についてどうしてその色が尊いものだとして選ばれたのかについてお話ししました。
- 昔は紫を身につけるのが位の高い事の証明だった。
- 古代ローマや西洋の文化で、理由は『貝紫色』の元の貝が少なく貴重だったから。
- その後は中国の陰陽五行思想に基づく。
- 陰陽五行思想は季節を木・火・土・金・水で表しそれを用いて様々な事柄を表すもの。
- 土が万物の中心で位が高く基づく色は黄色。
- 中国では隋や唐の時代に黄色が皇帝の色になった。
- その文化を使い日本でも『黄櫨染』『黄丹』が誕生する。
紫色が位の高い象徴だった理由が、貴重だったからなのは私的には少しだけ「う〜ん」と思ってしまうところがありますが、逆に現代でも数が少ないものなどを所有しステータスにすることは多いので人は変わらなくて面白いと思いました。
そして、その後の黄色を尊いとした文化も取り入れてから長い間変わることなく受け継がれて来たことは素晴らしいことだと思いますし、長く続いた文化がこれからも繋がっていけば嬉しいですね!
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